ノーズスライドスピン

180°(ワンエイティと読む)はスタイルによってかなり見た印象が違うトリックです。
ここまで違いが出るトリックは他にはないのではないだろうか・・・。
単純だからこそ、スタイルが出しやすく多種多様であるとも言えます。
滞空時間のあるスローローテーションのエアーBS180°や高速カービングからのスタイリッシュなグラトリ180°は他のどんなトリックにも勝るという人もいる程、個人によって趣向が様々です。

これは飛ぶきっかけやスタイルによってかなりの種類があるので、自分の中でどんな180°がしたいのか、そのイメージをしっかり、はっきり持つことが描いたトリックを実現させる近道となるでしょう。
とはいっても、最初は持ったイメージが種類のどれかなんてわからないと思いますので、基本的なところ(オーリー、ノーリーを除く)のみ解説したいと思います。それこそオーリー、ノーリーをこの先習得し、いろんな人の180°を見ることによって、自分の理想とする180°に近づけていって欲しいです。そのきっかけとなれば幸いです。

○この技を習得する上で前提となる技術
  ・カービングターン
  ・フェイキー

180°
イメージとしてはレギュラースタンスから飛んで180°回ってフェイキースタンスで着地します。
飛ぶきっかけが両足飛び、オーリー、ノーリー、(エッジ引っ掛け)等があり、それぞれ回る方向にOS、BSの2種類があり、さらにフェイキーがあるので単純に数えて16種類に分類できます。

今回はこの中から両足飛びについて解説します。
残念ながらこの両足飛びはトリックとしてはあまり認められない方向にあるようです。やはり跳躍の基本はオーリーという認識が根強いです。
でも、できちゃえば両足で飛んだって180°は180°だしね、というわけで180°の中でも最も習得しやすいところからのスタートです。でもこの180には後の難易度の高い180°にステップアップする上での基本が沢山含まれているので、是非順を追って習得をして欲しいです。
ちなみにオーリーやノーリーの180°ができるレベルの人は読み飛ばしてもらった方がいいかも。。。

まずこの180°をする前にターンができることは大前提として、フェイキーをマスターしておいて欲しいです。だって、180°回ったら着地は必ずフェイキーになるからね。
その上で挑戦して欲しいです。怪我を防ぐためにも。



やり方(レギュラーからOS方向へ180°)
@自然に体を進行方向に開き、跳躍のために膝を落とし準備する。(なるべく深く)
A上半身を回転方向(背面側)に先行回転させる。(振り向く感じでそのまま維持)
B膝を伸ばしつつ、両足で跳躍。腰を引き上げる。(跳躍はつま先エッジで行う)
C膝をできるだけ引き上げる。(胸に膝があたるくらいひきつける)
D先行している上半身の向きに下半身が追いつく。(下半身を無理に回したりしない)
E衝撃を膝で緩和しつつ両足で着地。(着地は両足のつま先エッジで行う)
Fフェイキー滑走。(なにもなかったかのように颯爽と)

ポイントはAの上半身の動きです。
後々もっと回転数をあげる場合さらに重要になってきますが、グラトリの場合、滞空時間は短いのでよりその滞空時間を増やしかつ有効に使っていかねばなりません。そのための方法のひとつとして上半身の先行動作が必要になってきます。板を履いたまま両足で踏み切りジャンプすると踏み切りの時に回転力を体と板に与えることはほとんどできません。ターンの最中に旋回力を利用しある程度の回転力を得つつジャンプはできますが、せいぜい180くらいの回転力しか得られません。
(今回の場合はターンの旋回力等を利用するのではなく、直滑降からいきなり回す場合です。)
つまり両足踏み切りの場合、足を使って回転力を作ることはほとんどできないと思って下さい。

よって、上半身を先行回転させ、体のバネを使って回していくことになります。
上半身が向いた方向にジャンプして下半身は同じ方向まで向くことができるので、これを利用し、ジャンプ前につま先エッジを立て、跳躍のための足がかり、また上半身を先行回転させる足がかりをつくります。(エッジを立てて滑れないと難しいので要カービング技術となります。)

そして、膝を胸につけるつもりで思い切りジャンプすると自然と足が上半身について回ってきます。
これで180°の完成です。

(※もちろん逆に下半身が向いた方向に上半身を向けることもできますが、これは軸ズレやバランスを崩しやすく、より高等テクニックです。)

なお、注意点としてEの括弧書きのとおり、着地はトゥエッジで行って下さい。でないと回転が止められずに着地してからも回ってしまったり、なれないうちはエッジが雪面にかからずすっぽ抜けて転倒しかねません。



BS180°



BSに関してもやり方は同じですが、進行方向が見えない側へ飛んでいくことになるので、
より恐怖感を強く感じると思います。
恐怖感については最初は思い切りで乗り切り、慣れでなくしていくものですので、こればっかりはどうしようもないですが、BSの方が簡単に回るので、板を履かずに回すことに慣れてから、板をスライドさせて回してみて感覚をつかみ恐怖をなくしていきます。そして飛んで、すこしずつ回す角度を増やして練習していけば、できるようになるまでにそんな時間はかからないはずです。
逆エッジで着地しないようスライドでエッジが雪面にかからない板操作をしっかり覚えてから飛びにチャレンジして下さい。


さて、OS、BSの両足踏み切り180はできたでしょうか?
まずここからマスターすることによって、飛んで回る際の体裁きとか感覚を養えます。
この先、オーリー180やピボット180なんかをマスターする上でも、この体裁きが身についていると習得しやすくなるので順序よくマスターしていって下さい。


☆コツと注意点☆

回転した後は・・・
上でも書きましたが、回転した後は逆のスタンスで着地することになります。
逆のスタンスで滑ることに抵抗や恐怖を感じているうちは180°に挑戦するのは、まだ早いです。
逆のスタンスで滑っていることが当たり前になるくらい、練習をした上で臨んでください。
またフェイキーで着地が苦手な人はフェイキーから180°でレギュラーに戻して着地するという180°もありなので、挑戦してみて下さい。その方が得意という人も多いです。
このように自分が怖くなく、安全にできる方法でチャレンジしてみて下さい。

効率よく回すコツ
スピンするトリックに共通して言えることですが、回転する時、体の中心に軸をイメージして、そこを中心に回るようにしてみて下さい。誰でも板を履かずにその場でジャンプして回ってみると、自然に体の中心が軸になっているはずです。板をつけてもそれは変わりません。
また軸を正確に作ることによって、成功率、回転スピードも上がり、カッコよくなります。

目線を先に
上半身を先行して回転する時、目線を先に回転方向へ向けて下さい。人間は首を向けた方向へ自然と体が向くようにできていますので、より体を回しやすくなるはずです。
逆に首が遅れて回っているようでは、体の回転を妨げることになりますので注意して下さい。